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自動車とバイクのエンジンについて・・・其七

 


 

 

 

 

ピストン

 

■ピストンの役割は・・・

混合気を圧縮する

燃焼圧力をコンロッドを介してクランク・シャフトに伝える

排気ガスをエンジンの外に押し出す

シリンダ内を負圧にして混合気を吸入する

です。

 

さて・・・ピストンは下のような構造になっています。

ピストンは燃焼による高温、高圧に常にさらされていて、しかも、シリンダ内で常に往復運動を行なわなくてはなりません。

その為、軽量で強靭性(きょうじんせい)、耐熱性、耐磨耗性などが要求されるので、ピストンの材質は耐久性の高いアルミニウム合金が使われています。

 

合金と言うことは、なんかが混ざってるってことですよね〜

アルミニウム合金の気になる中身はというと・・・

 

アルミニウム、銅、シリコン(ケイ素)、ニッケルが入っていて、この中でシリコンの含有量が多いものを高ケイ素アルミニウム合金ピストン、少ないものがローエックス・ピストンと呼ばれています。

・・・ですが、自動車メーカーの材料開発部の人達くらいしかこのことを気にする人はいないと思いますけど・・・。

ま、知ってても損はないですよ。^ ^

 

ピストン断面図
ピストンヘッド面 ピストン側面 ピストンボス部 ピストン全景

 

上の写真のピストンはたまたま私が要らなくなったエンジンを解体した時のものを取っといたものですが、ピストンにはこの他にもたくさんの種類があります。

 

 

ピストンの種類

 

   

まず、向かって左のピストンがソリッド・スカート・ピストンと呼ばれていて、見た目にも1番オーソドックスな感じです。

そして、右側のがそれを軽量化するためにピストン・スカート部をカットしたスリッパ・スカート・ピストンと呼ばれているものです。

こんにちのピストンの基本形はこの2つで成り立っています。

この2つを更に改良したのがその下の、向かって左のスプリット・スカート・ピストンと向かって右のスチール・ストラット・ピストンです。

■スプリット・スカート・ピストンは、ピストン・スカート部にスロット(切り割り)を入れて弾力性を持たせたもので、熱膨張や側圧をスロットで逃がすことができるので、シリンダとの隙間を小さくすることができます。
スロットの形でTスロット、Uスロット、水平スロットと呼ばれています。

ここに紹介しているのは、Tの字にスロットが切られているTスロットです。

 

■スチール・ストラット・ピストンは、アルミニウム合金ピストンの熱変形を押さえる為にピストン・ボス部の周りに鋼板のストラット(板)を鋳込んだもので、別名はオートサーミック・ピストンと言います。

オートは自動の意味ですね。では、サーミックは?

熱量とか熱による〜とかって意味です。

なんとなく解ります?

このスチール・ストラット・ピストンはピストンの熱膨張が小さいので、スプリット・スカート・ピストンと同じくシリンダとの隙間を小さく出来るのですが、重量がやや重くなります。

 

いろいろとピストンの形状は研究開発されていますが、1番多く使用されているのは私が灰皿用に取っておいた解体車のスリッパ・スカート・ピストンなんです。

でも、スリッパ・スカート・ピストンもメーカーの開発部の人達の手によって更に改良されています。

それが円すい状ピストンだ円状ピストンです。

■円すい状ピストンは、ピストン側面から見るとスカート部の径が大きく、ピストン・ヘッドの方が径が小さくなっています。

これは、ピストン・ヘッドの方が燃焼による熱膨張の影響を受けるために、熱膨張した時に1番いい状態になるように予め小さくしているんです。

 

■だ円状ピストンは、ピストンをスカート下部から見てみると、AとBではBの方がAより直径が大きくなっています。

Aはピストン・ボス直径、Bはそれに対して直角方向ですね。

これは、一般にピストン・ボス部の肉が厚くそのほかの部分よりも熱膨張が大きいために、これも予めボス部の直径を小さくしといて、熱膨張した時に1番いい状態になるようにしているんです。

 

ピストンを形状で一つ一つ分けて説明しましたが、エンジンをどういうエンジンにするか?

高回転のスポーツタイプ、低回転のクロカン4WDタイプ、中回転の常用タイプ、トラック・バスの高負荷タイプ、省・低燃費タイプなど多種多様な車のエンジンがあります。

さらには、排気量、気筒数(4気筒、6気筒、8気筒、12気筒)、直列エンジンなのかV型エンジンなのか?

それぞれのエンジンによってピストンは多様化、複雑化していくので、ピストンの形状もここで説明した何個かが合わさった形状になっています。

例えば・・・スリッパ・スカート・ピストンと円すい状ピストンとだ円状ピストンと、いった感じです。

それと、ここで写真とイラストで紹介してるピストンのヘッドの形状は平らか、少し凹んでるものですが、逆にヘッド部分が出っ張ってるのもあります。


この写真。

 

ソリッド・スカート・ピストン   スリッパ・スカート・ピストン

ソリッド・スカート・ピストン

 

スリッパ・スカート・ピストン

 

スプリット・スカート・ピストン スチール・ストラット・ピストン

スプリット・スカート・ピストン

 

スチール・ストラット・ピストン

 

円すい状ピストン だ円状ピストン

円すい状ピストン

 

だ円状ピストン

 

 
 

 

さて、ここで上の写真に戻ってもらって。

写真の1番左、イラストの右隣の写真ですよ。

ピストンの真ん中よりちょい上に●黒丸が見えますか?

●黒丸の下にはなにやら数字らしきものも見えますね?

まず、●黒丸の意味は・・・いたずら?

 

違います。

フロントマークです。

 

■フロントマークとは?

エンジンを組み立てる時に『こっちが前だよ』という意味です。

前とは?

エンジンの前側、クランク・プーリまたは、クランクシャフト・タイミング・ギヤが付いているほうが「エンジンの前側」になります。

これは、FRの車でもFFの車でもRRのポルシェでも、どこの国のどの自動車メーカーの車でもこのことは変わりません。

 

 

次に、●黒丸の下の数字らしきものは・・・数字です。

いたずら?

 

・・・違います。

この写真では見づらいですが、3て書いてあります。

このピストンが使用されていた車は直列6気筒でした。

つまり、6個ピストンがある中で「3番目のピストン」と言う意味です。

もちろんフロントから・・・6個で3番目・・・後ろからでも3番目でした。

 

 

で、ではつぎは・・・

●黒丸と数字を挟んで左右に傷みたいなのが見えますか?

もちろん傷でもいたずらでもありません。

これは、バルブの「逃げ」です。

左側が排気バルブで、右側が吸気バルブの逃げです。

 

どうして吸気バルブのほうが逃げが大きいのかわかりますか?

それは・・・吸気バルブのほうが大きいからです。

バルブ機構のところで勉強しましたよね?

 

このピストンが付いていたエンジンではバルブとピストンが若干干渉してしまう為に、ピストンに逃げをつける必要があったということです。

スポーツタイプの車のエンジンのピストンには結構多かったりします。

なぜか?

通常よりも圧縮比を高くする必要があるため、ぎりぎりまでピストンを上昇させたいけど、どうしてもバルブと干渉してしまうので「逃げ」を作ってバルブと干渉するのを防いでるんです。

ちなみに、このピストンの持ち主は・・・日産スカイラインRSターボでした。

今ではすっかり走ってる姿を見なくなりました。

 

 

 


 

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