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冷却装置<cooling system>

 

ラジエータ


 

 

 

冷却装置は車のエンジンの温度を常にほぼ一定の温度に保つ為に必要不可欠な部品です。

車のエンジンは、春夏秋冬を通して外気温度の影響を受けます。

春の暖かな時、夏の極暑の時、秋の涼しい時、冬の極寒の時。

それだけでなく、高速道路を順調に走ってる時、のろのろ状態の時、渋滞の時、市街地を走ってる時、信号待ちをしてる時。

長い上り坂をアクセル全開で登ってる時、ゆっくりと景色を楽しみながら登ってる時。

逆に、長い下り坂をアクセル全開で下ってる時、ゆっくりと景色を楽しみながら下ってる時。

それぞれエンジンが出す熱量・温度が違います。

その全てを冷却装置が常にエンジンの温度をほぼ一定に保っているのです。

 


 

冷却装置の冷却水は不凍液という冬場でも凍らない特殊な液体が使われています。

通常水と混ぜて使いますが、車が使われる地域によってその濃度が変わってきます。

東京、埼玉、神奈川、辺りなら20%・外気温度-10℃弱。

沖縄や九州など比較的冬でも暖かな地域なら東京と同じくらいでいいと思います。

東北地方、北海道などめちゃめちゃ寒い地方は60%・外気温度-50℃に対応してます。

外気温度によって不凍液を混ぜる割合が変わってきますので、自分がどこに住んでいるのかによって決まります。

ただ、冬場にスキー、スノボー、ワカサギ釣りなど寒い地域に出かける機会がある人は、予めその地域の外気温度に合った冷却水濃度にしていかないと、旅先で冷却水が凍ってしまいます。

凍ったままエンジンを掛けると氷でウォーター・ポンプなどが傷ついたり、歯が欠けたりして修理が必要になることもあります。

 

     
ウォーター・ギャラリー経路  

上の図を見てください。

ウォーター・ポンプでエンジンが回ってる間は常に冷却水は循環してます。

水色の矢印は冷却水が冷えてる時の循環経路です。

ウォーター・ポンプで回された冷却水はエンジンとウォーター・ポンプの間をぐるぐる回ってます。

これは、エンジンが冷えている為になるべく早くエンジンを温めようとしてエンジン内部で循環してます。

ラジエータなど外気に触れるところには循環しないようにしています。

 

次に、エンジンが温まってきたらサーモスタッドを開いてラジエータの方に冷却水を循環させてエンジンを冷やそうとします。

これが赤色の矢印です。

サーモスタッドは冷却水の循環経路に設けられていて、エンジンが冷えている時にはラジエータへの水路を閉じて冷却水を早く適温にし、適温になった後はラジエータへ流す冷却水の流量を制御して、水温を調整する役目をしています。

 

 

■ サーモスタッド ■

 

サーモスタッドの動作

 

上の図はサーモスタッドの作動を簡単に表したものです。

冷却水が冷えている時は、ペレット内のワックスも固体のままで、バルブも閉じています。

冷却水温度が高くなると、固体のワックスが溶けて液体となって膨張します。

 

膨張すると合成ゴムが圧縮されてスピンドルを押し出します。

スピンドルはケースと一体で固定されているので、ペレットが動かされケースとペレットの間に隙間が出来ます。

 

この隙間がバルブ開の状態です。

 

冷却水温が低くなると、ワックスが固体となって収縮して合成ゴムが元の状態に戻ります。

すると、ペレットがゴムに押されていた状態が解けるので隙間がふさがれて、バルブ閉となります。

図には描いていませんが、ケースとペレットはスプリングによって繋がっていて、ゴムの圧力が抜けるとペレットはスプリングの力で元に戻ってバルブ閉となります。

 

サーモスタッドが閉じ側で壊れると、水温が上がってもサーモスタッドが開かない為、エンジンを冷やせなくなります。

水温計を注意して時々見ながら運転している人は水温が上昇しているのに気付くわけですが、ほとんどの人が残念ながら気付かずに乗り続けてしまいます。

 

エンジンにとって冷却されないというのは最悪の環境です。

エンジンを痛めるばかりでなく燃費も悪くなりますし、エンジンの寿命も短くなります。

そして、なによりも最悪の事態としてはエンジンの焼きつき。

こーなってしまったら高額な修理費を出して直して乗り続けるか、車を買い替えるかぐらいしか選択肢はないでしょう。

 

ただ、余りひどくない状態の場合なら、サーモスタッドとクーラント(冷却水)の交換で済むかもしれません。

いずれにしても、このような事態にならないように車に乗ったら、エンジンが十分に温まってから水温計を「ちらり」と見てやってください。

 

開き側で壊れた場合は、夏場はまず大丈夫でしょう。

常にラジエータに冷却水が回ってるんですから。

 

問題は冬場です。

大した問題でもないんですけど・・・

エンジンがなかなか温まらない。

という症状が出ます。

気付かない人はきっと気が付かないでしょう。

ただ、エンジンは十分温まってから本来の性能を発揮しますから、なかなか温まらないと出力の低下、燃費の悪化などが出てくると思います。

 

これもまた図には載っていませんが、サーモスタッドが損傷した時の為に閉じ側(閉じたまま開かなくなる)で壊れないようにピストン・ロック機構を設けたものもあります。

これは、水温が何らかの原因で以上に高くなった時に(大体135℃以上)サーモスタッドが閉じ側で損傷するのを防ぐ為の機構です。

 

 

■ ジグル・バルブ ■

 

さらに、サーモスタッドには、ジグル・バルブという水路内に残ってしまった少量の空気を抜く為のバルブが設けてあるものが多く採用されるようになって来ました。

下の図がジグル・バルブを簡単に説明したものです。

ジグル・バルブはクーラント(冷却水)の交換時に残ってしまった空気を抜くために設けられた機能と部品です。

空気がきちんと抜け終えれば、ジグル・バルブの役目もお休みです。

 

ジグル・バルブの動き

 

左の図がエアが水路内に残ってる時のジグル・バルブの動作です。

ジグル・バルブの右側が左側よりも重い為、ジグル・バルブが斜めになります。

すると、サーモスタッド本体とジグル・バルブの隙間からエアがラジエータ側に逃げていきます。

エアがなくなると、右の図のように浮力と水圧によって閉じて、エア抜き孔から冷却水がラジエータ側に流れるのを防いでいます。

 

 

■ ラジエータ・キャップ ■

 

ラジエータ・キャップは冷却系統に圧力を加えるようにしたものが使用されています。

ラジエータ・キャップでラジエータを密封して、冷却水の膨張によって圧力を掛けて、水温が100℃以上になっても冷却水が沸騰しないようにして、沸騰による気泡の発生を抑えて冷却効果を良くするためです。

下記のようにプレッシャー・バルブとバキューム・バルブを備えたラジエータ・キャップは、水温が上がり冷却水が膨張すると一定圧力まではバルブ・スプリングの力によって押さえつけられています。

一定の圧力を超えるとバルブ・スプリングの力に打ち勝って、スプリングを押し上げて膨張した量だけリザーバ・タンクへ流入します。

冷却水がある程度冷めるとラジエータ内に負圧が発生するため、リザーバ・タンクから減った分だけラジエータに戻ります。

この動作を常に繰り返してラジエータ内の圧力を一定に、そして、常にラジエータ内には冷却水が1杯に入っている状態を保ちます。

 

 

■ ラジエータ・コア ■

 

ラジエータはアッパー・タンクとロアー・タンクでラジエータ・コアを上下で挟み込んで形成されています。

最近のラジエータはアルミニウムのラジエータ・コアとプラスチックのアッパー&ロアー・タンクで作られています。

アルミニウムは熱伝導率が良く加工もし易くて、軽量です。

プラスチックのタンクは耐熱プラスチックで出来ていて、軽量です。

昔はタンクもコアも金属製のラジエータだったため、重量もかなりあったし、錆で穴が開いたりしてアフターケアに手間がかかりました。

ラジエータ・コアは水が流れる多数のチューブと放熱用のフィンで構成されています。

アッパー・タンクの冷却水は、チューブを通ってロアー・タンクへ流れる間に、フィンを通過する空気によって冷却される仕組みになっています。

フィンが波状に形成されているのは表面積を多くして、放熱性能を高めて、より冷却効果を得るためです。

 

 

 

■ 電動ファン ■

 

ファンはラジエータ側から冷却空気を吸い込み、ラジエータを流れる冷却水を冷やすと共に、エンジン本体も冷却する働きをしています。

ファンの駆動は、バッテリーを電源としてファン・モーターによって駆動されています。

総称して電動ファンと呼ばれています。

下の図のサーモスイッチによって冷却水の温度を感知して、水温が高くなるとサーモスイッチがオンとなりファン・モーターに電気が供給されてファンが回転します。

水温が低い時や、ファンの回転によって低くなった時にはサーも・スイッチがオフになり、電気の供給がストップするのでファンは止まります。

走行中はファン・モーターに電気が供給されなくても、走行によって風がファンに当たるためファンは空転しています。

 

電動ファン

 

 


 

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