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自動車ブレーキ装置

<Brake/BrakeSystem>

 

ブレーキが効かないと、小型車で1t、中型車で2t近くある鉄の塊を止める方法はありません。

走る凶器・走る棺おけとなり、乗員も歩行者も大変危険なことになります。

いつも何気なく足で踏みつけているブレーキ・・・

このブレーキがどうやって鉄の塊を制動しているのかを知ってください。

 


 

自動車のブレーキ装置は、走行中の自動車を減速及び停止させることを目的とします。

その他に、停止状態に保つ為にも使用されるもので、一般に摩擦を利用して制動する摩擦ブレーキが使用されています。

 

ブレーキ装置としては、作動が確実で、安定性・信頼性・耐久性に優れていると共に、操作が容易であることが求められます。

ブレーキ装置は、基本的に運転者の操作力を油圧や空気、又は、リンクなどを利用して伝達させる操作機構と、

その力を受けて制動力を発生するブレーキ本体から構成されています。

 

 

ブレーキ装置を大別すると下記のようになります。

ブレーキ装置の大別

 

■ディスク・ブレーキ■

 

ディスク式油圧ブレーキ(ディスク・ブレーキ)

ディスク・ブレーキは、ホイール(タイヤ)と共に回転する円板形のディスクを両側からデレーキ・パッド(パッド)で強く挟み込んで制動するようにしたものです。

この方法では、ディスクが露出しているので、放熱が良く、高速で繰り返し使用しても制動力の変化が小さく、安定した制動力を発揮します。

 

ディスク・ブレーキ本体の種類としては、下図のようにディスクの両側にシリンダーがあって、ディスクを挟み付けるようになっている固定キャリパ型(対向ピストン型)と、シリンダーが片方にだけある浮動キャリパ型などがあります。

ブレーキ・キャリパの種類

 

 

 

固定キャリパ型(対向ピストン型)

固定キャリパ型は、左図のようにホイールと共に回転するディスクと、ナックルに固定されたキャリパから構成されています。

キャリパの左右の両端(膨らんでる箇所)にシリンダーが取り付けられています。

シリンダーには、ピストン及び自動調整装置が内臓されていて、マスター・シリンダーからの油圧を受けて、ピストンの先にあるパッドをディスクに両面から圧着して制動作用を行うようになっています。

 

対向ピストン型キャリパ
 
浮動キャリパ型

 

浮動キャリパ型

キャリパを浮動状態にしておき、キャリパの片方に1個のシリンダーと内部に1個のピストンを取り付け、反対側のパッドは反作用を利用して力を加えるようにした方式です。

ホールと共に回転するディスクと浮動式のキャリパ及びキャリパに組み込まれているピストンやパッドなどで構成されています。

 

 

 

 

 

 

 

作動としては、シリンダー内に油圧が発生するとピストンは右図のの方向へ押され、右のパッドをディスクに圧着します。

同時にシリンダー底部にも同様の油圧が働くため、キャリパがBの方向へ移動して、左のパッドもディスクに圧着します。

キャリパは鋳鉄製のもので、制動力の反発を受けると共に、パッドをディスクに押し付けたときの反力を受けるので、強固に造られ、アクスルの固定部分・フロントナックルに取り付けられています。

 

 

浮動キャリパ断面図
ベンチレーテッド・ディスク

 

 

ブレーキ・ディスク

ブレーキ・ディスクは、ハブに取り付けられていて、ホイールと共に回転する鋳鉄製円板です。

最近のディスクは下図のように一般的なものと違いヘンチレーテッド・ディスクと呼ばれ、制動時の摩擦熱が放熱しやすいように、中空になっているものが多いです。

さらに、スポーツタイプではディスク面にいくつか穴やスリットを付けて、放熱性をさらに良くし、摩擦で出るパッドの削り粉やガスを穴やスリットで効率良く外に放出するようにしたものもあります。

ディスクの厚みによっては、後からスリットなどの加工を施すことができる場合があります。

そのままより、制動力も上がり、見た目もかっこ良くなり、自己満足に浸れること間違いないでしょう。

 


シリンダーとピストン断面図

 

 

 

シリンダー及びピストン

シリンダー及びピストンは、ディスクを挟み付けるようにキャリパに取り付けられていて、その構造は左図のようになっています。

シリンダー端には、ピストンとの間に水分や泥、ほこりなど異物が侵入するのを防ぐために、柔らかいゴム製のブーツがあって、さらにその奥にはゴム製のピストン・シールがシリンダー内壁の溝に納められています。

ピストン・シールは油圧を保持すると共に、ピストンの吐出量の自動調整装置という重要な役目もしています。

 

 

ブレーキ・パッド

ブレーキ・パッドは、厚さ10mm程度のセミメタリック製で、ピストンの先に取り付けられています。

パッドの側面には使用限度を示す溝が設けられていて、パッドがキャリパに取り付けられたままで、パッドの磨耗状態が点検できるようになっています。

 

 

自動調整装置

自動調整装置は、パッドが磨耗すると、自動的にピストンがパッド側に前進して、ディスクとの隙間を常に一定に保つもので、調整はゴム製のピストン・シールによって作動しています。

ピストンは、右図左側のようにシールを変形させながら、パッドを押し出します。

ブレーキから足を離して油圧がなくなると、右図右側のようにシールが元の形状に戻ります。

ピストンはその変形の分だけ引き戻されてディスクとパッドとの間に常に一定の隙間ができます。

 

パッドが磨耗すると、ピストンの移動量が多くなり、シールの変形量を超え、この分だけピストンとシールの間を移動した後、変形した分だけ上記と同じように引き戻されて、隙間が一定に保たれます。

ピストン・シールの作動図

パッドがどんどん減ってピストンがどんどんパッド側に進めば、シリンダーの容積が増えます。

増えたシリンダーの容積にはブレーキ・フルードが補充されるので、エンジンルーム内で確認できるブレーキ・リザーバ・タンクの液量が減るわけです。

ブレーキ・パッドを直接点検しなくとも、ブレーキ・リザーバ・タンクの液量を点検すれば、大体のパッドの残量がわかるようになっていますが、パッドが磨耗して交換時期になる前に、ブレーキ・フルードが劣化してしまうため、フルードを交換すると、リザーバの「max」までフルードを補充してしまうので、実際にはフルードのリザーバ・タンクで確認することは意味がないことになってしまっています。

 

ブレーキ液(ブレーキ・フルード)

ブレーキ・フルードには、要求される性質があります。

1.作動温度において、適当な粘度と流動性を維持していること。

2.科学的に安定していること。(不安定だと、何もしていないのに勝手に自分で変化してしまう)

3.沸点が十分に高く、ベーパ・ロックを起こしにくいこと。

4.ゴム類を変質させないこと。特にカップ材を膨張、収縮させないこと。

5.金属を腐食させないこと。

6.吸湿性(湿気、水分を取り込んでしまう性質)が少ないこと。

 

ブーキ・フルードの取扱上の注意点

1.指定のブレーキ・フルードを使用し、銘柄の異なったものを混合して使用しないこと。

2.長期間使用していると、水分を吸収し、性能が劣化するので、指定されている期間ごとに交換すること。(現在は製品性能が向上したため、指定期間はなくなりましたが・・・)

3.フルードを補充する場合、リザーバ・タンク付近にある、ごみ・ほこりなど異物が混入しないように注意し、また、鉱物油(エンジン・オイルやギヤ・オイル)を絶対に入れないこと。

4.洗車の時など、油圧系に水が入ると沸点が低下し、ベーパ・ロック発生の原因となるので注意すること。

5.ブレーキ・フルードの容器は、必ず蓋をして保管すること。

6.ブレーキ・フルードが塗装面に付着すると、短期間の内に塗装面を侵すので、取扱に十分注意すること。

 


ベーパ・ロック

ベーパ・ロックとは・・・

まず、ブレーキ・フルードが湿式性であるということを念頭にお話します。

フルードを長期間使用していると、リザーバ・タンクの空気穴から外気が出入りします。

外気には水分が含まれているので、その水分をフルードが吸収してしまいます。

水分=水 水の沸点は100℃です。

フルードの沸点は100℃以上あります。

ブレーキを掛けたときの摩擦熱によりパッド→キャリパ→フルードと熱が伝わります。

新品のフルードなら楽勝でも、古くなったフルードには水分が含まれているため、フルード内の水分だけ沸騰します。

水分が沸騰すると・・・

ブクブクと空気の泡がでますね?

一度でた空気の泡が、再びフルード内に吸収されることはありません。

この空気=気泡が曲者なのです。

ブレーキは油圧でパッドをディスクに押し付けます。

油は押されたら、押された分だけ移動します。

押されたら、押されただけ力を伝えます。

では、空気は?

空気を押しても・・・空気は圧縮されます。

ブレーキを踏んで、油圧が発生しても、その油圧を空気が吸収してしまい、きちんと油圧を伝えることができなくなります。

油圧をきちんと伝えることができないと、ブレーキを踏んでもブレーキが効かない、効きが悪いという状態になります。

この気泡によって、ブレーキの効きが悪くなる現象のことをベーパ・ロックといいます。

 


 

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